Do It Yourself的な会社運営方法


 C.S.エンジニアリングを設立してから3年以上になりますが、小さな法人を運営していく上で必要なさまざま事柄の実際の処理方法を紹介します。それぞれ参考にしている書籍も紹介しますが、現在主に参考にする(又は過去に主に参考にした)書籍のみで実際に所有している全ての書籍ではありません。


1.法人の設立/変更について

 会社を設立するにあたり、有限会社の設立の仕方の本を読んで手順を確認しました。設立時に行く必要のある役所は、法務局、公証人役場、税務署、県税事務所、市役所です。出資金がらみで銀行(又は信用金庫)も係ってきます。役所のうち公証人役場は、大きな街にしかありません。従業員を雇うのであれば雇い入れ時に公共職業安定所、労働基準監督所にも行かなければなりません。

 法人設立時には印鑑を作らなければなりませんが、代表印、銀行印、角印くらいを用意しておけば事足ります。ゴム印は契約書などに使用するもの(社名と代表者氏名)と住所と会社名のみのものを持っていれば十分です。

 一応これらの手続きは、全て自分で行いましたが、本にも書いてなかった(恐らく登記に関係している人にとっては常識?)失敗談として登記書をボールペンで書いてしまったので再作成する必要がありました。登記書はカーボンの入ったインクで書かなければならないということで、RISOのOKペン(スーパーなどに入っている文具店には置いてありません)を買ってきて登記書を書き直して、手続きを行いました。それ以外は本に書いてあるとおりで特に問題はありません。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
有限会社の設立と運営のしかた 西東社 ISBN4-7916-0185-8
自分で有限会社をつくるときの基礎知識 かんき出版 ISBN4-7612-5483-1

2.雇用保険、社会保険について

 雇用保険や社会保険については、上記法人の設立関連の書籍に掲載されているとおりに手続きすれば特に問題ありません。

3.就業規則について

 就業規則については、従業員10名以上の会社のみ必要ですが、従業員を雇う際に作成しました。就業規則に関しては、書籍の雛型を参考にして必要ないものを削除したり、項目を修正したりして作れば、割と簡単に作ることができます。作成した就業規則は、労働基準監督所に届け出ると内容を確認後、受付印を押して返してくれます。給与規定などその他の規定は、労働基準監督所に届け出る必要はないようです。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
就業規則の作り方・運営のすべて 明日香出版社 ISBN4-87030-545-3

4.契約書について

 契約書については、たいてい大手の企業は雛型を持っていますので、あまり作ることはありません。しかし、仕事を行う上で必要なことですので、知識としては持っている必要があります。このあたりも本で勉強すればOKです。また、法人の代表者と代表者個人は別人格になるためその二者間で契約を結ぶことができるので資金繰りのため個人から法人にお金を貸し付けるとき、自宅の一部を事務所として使用する場合の賃貸契約など契約書を作ることはあります。

 C.S.エンジニアリングの場合はソフトウェア取引の契約書になりますが、すでに何社かとの契約書がありますので、新たな契約書を作るときにはそれらを参考にして作っています。契約書を交わす場合は、2通作成したものに署名、押印して契約先に送り、契約先に署名、押印いただいたものを1通送り返してもらいますが(又はその反対)、契約書を送る場合は簡易書留で送っています。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
ポケット契約書式集 自由国民社 ISBN4-426-23906-0
ソフトウェア取引の契約ハンドブック 共立出版株式会社 ISBN4-320-02491-5

5.仕訳について

 帳簿のつけ方については、まったく知識がなかったのですが、税務署で仕訳くらいは税理士に頼まなくてもできると言われ、これも本を読んで基本的な知識は身に付けました。結局、会計ソフトを買ってきてすべて自分でやっています。仕訳など勘定科目がよくわからないときは、たいてい税務署に電話をして聞いています。ただし、税金を減らすようなことは教えてくれませんので、それがいやな方は税理士さんに頼んだほうが良いでしょう。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
どの勘定科目?すぐわかる仕訳事典 明日香出版社 ISBN4-87030-858-4
勘定科目のことがよくわかる事典 西東社 ISBN4-7916-0187-4

6.経理及び運営一般について

 経理の処理については、まず自社の見積書、請求書、納品書、受領書を作成することです。Excelや Accessのサンプルにこのあたりの書類を出力するサンプルが含まれていますので、それらを変更して自社の物を作成すればOKです。その他、費用出金伝票、旅費清算伝票などは、オリジナルのものをWordで作成して使用しています。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
経理のことがよくわかる事典 西東社 ISBN4-7916-0192-0
パソコンで簡単経理入門 日経BP社 ISBN4-8222-9043-3

7.源泉処理について

 源泉処理については、税務署で決算処理と較べれば簡単だと話を聞きましたが、最初の源泉処理は、説明会(毎年10月ごろに案内がきます)を聞きに行きました。しかし、実際にやってみると単順に月々に支払った所得税の合計と実際の年間所得と控除額を再計算するだけで源泉処理の資料だけあればできるてしまうので、2年目以降は説明会後に市役所の税務課に書類だけもらいに行っています。源泉処理については、従業員の市町村ごとに住民税の給与支払報告書をまとめて送らなければならないので、在宅勤務の遠隔地従業員などが複数いる場合など、源泉処理は処理の難しさより手間のほうが多いようです。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
平成xx年分年末調整のしかた(源泉の書類の一つ) 国税庁?  

8.決算処理について

 さすがにこれは、税理士さんに頼むつもりだったのですが、決算の書類を自分で作れば節税の仕方もわかるかなと思い自分でやってみました。たとえ間違えて提出しても、計算ミスであれば提出後、税務署から電話がかかってきますので、税務署に出向いて修正すればOKです。法人の年末調整のようなものですが、別表五が既に支払った各種税金関係、別表四で別表五を含むその他別表で算出した額の合計を求めるようになっているので、そのあたりの仕組みを理解するのがコツではないかと思います。

 C.S.エンジニアリングはというと、3回の決算処理を行ってきてある程度数値を入力すれば、複数の別表の計算がすべて算出されるようなExcelのグリッドを作ってあるのですが、毎年変わる税率を前年度のままで算出したものを持っていったりしていますので、修正のために税務署に何回か出かけていっています。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
法人税申告書のしくみと書き方 日本実業出版社 ISBN4-534-01887-8

9.特許について

 昨今ビジネスモデル特許がブームになっていますが、特許に関しては発明協会の共同利用端末を利用しています。共同利用端末を利用するまでには、特許庁に書類を送って各種登録と特許印紙代の予納をしておく必要がありますが、このあたりの処理に関しても発明協会に手順を説明した書類があります。実際に特許を出願する際の書類の書き方のサンプルも発明協会にありますが、実際の書類の内容に関しては、特許庁の広報で弁理士さんによって書かれた出願書類を参考にして書くのがよいでしょう。

参考にしている書籍

 タイトル  出版社  
特許・知的所有権の知識と実務 PHP研究所 ISBN4-569-54742-7
特許・実用新案出願のしかた 西東社 ISBN4-7916-0258-7

10.その他

 時々、それぞれの役所からアンケートや、処理の変更について通知がきますがこれらについては、必ず問い合わせ先の電話番号がかかれていますので、わからないときはそちらに問い合わせて処理しています。


 とにかくわからないことがあれば、担当の役所に問い合わせるのが一番です。今までに「XX士に頼みなさい」などと言われたことはありませんし、どの役所でも親切に教えていただけます。


最終更新日:2000年9月29日

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